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通信の相互接続とインターネット

インターネットを事業として開始する場合に問題になったことがいくつかある。その内の一つが相互接続の概念である。通信事業者は、自身のユーザ間との間の通信を媒介する業であるが、通信事業の拡大に伴い、通信事業者間での互いのユーザとの間の通信をサービスすることを行うようになった。相互の網を接続し、通信を中継するわけだが、相互接続は二社の間で行われ、二社の間で料金の精算が行われる。さらに、国際通信となった場合、対地(国)の概念が厳密であり、相手方との提携、相互接続を行い、料金を精算するルールを定め、申請を行う。対地の定義されていない国との間の通信をサービスすることはできない。

インターネットを事業化する際、日本は、電気通信が自由化されて電気通信事業法ができて、それほど長い年月が経っていない時だった。このようなルールは、ITU によって国レベルで議論されているかなり厳密なものだったと思う。ただし、通信の世界でである。

インターネットは、一旦、相互接続を行うと、その対地だけでなく、つながっていればどこまでも通信できてしまう。まずはそのことを理解してもらうことが必要だった。これに関しては、当時の通産省、郵政省でインターネットの事業化に関する検討が複数回行われ、理解は深まっていった。

しかしながら、実際の運用となると別の話で、なかなか難しい。また、歴史的な概念でもあり、なかなかそれを覆すのは難しい。解釈の方便の範疇であればよいことではあろうが、その解釈を行う者の柔軟性に依存することになるのは不幸を招くこともある。

インターネットは今や社会の中心的なインフラでありながら、通信事業としては、未だ異端であるという印象がある。

この考えは今の様々な問題に影を落としている。インターネットの中立性(network neutrality)と言われる問題である。

ネットワーク中立性ともいわれるが、インターネット上の全てのデータを平等に扱うべきだとする考え方である。

インターネットは相互接続を行うと、途中の経路が確立したものではなく、通信が可能になる。行きと帰りが違うことも起こりうる。多数の通信事業者の間を中継されて、通信が行われることも珍しくない。途中の中継を行う事業者が、特定の通信、特定のアプリケーションの通信を阻害すれば、それは意図しないユーザにまでその影響が及ぶこととなりかねない。インターネットを長く推進してきた人々にとっては、流れるパケットはすべて公平に扱うべきであるという信念がある。

ところが、通信事業の概念はあくまで二社の相互接続と、料金精算の概念で成り立っている。自社サービスを有利にユーザにアピールしたいので、さまざまなメニューを考える。最近話題になっているのが、「Pokemon GO の利用は無料にします」、「LINE の使用は無制限にします」、というやつである。

個人的には、インターネットの中立性という考え方からは、×だと思う。しかし、一方には通信事業という「事業」としての自由競争が存在している。したがって、インターネット全体に影響を及ぼさない配慮がなされている限りにおいて、可能となる事例が存在するということになるだろう。そのためには提供事業者間での相互接続と、料金精算が明確であることが逆の意味で条件ではないかと思う。

米国ではインターネットの中立性をめぐり、いくつかの事例が法廷で争われている。これらの事例と、我が国における現状をユーザの利便性を損なわないように、真剣に検討すべきである。